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オタモイ海岸での蟹釣り
翔太たちは、オタモイ海岸に来ました。家族みんなで、磯にすむ小さな蟹を釣って遊ぶつもりです。岩の隙間や、裏側には、蟹がたくさん隠れています。
そのなかに、父蟹、母蟹、兄蟹、妹蟹の四人家族も住んでいました。父蟹は、このあたりでは名士です。去年、ある大発見をして、一躍有名になりました。その発見とは、水面の上から、不自然な動きで降りてくる磯ツブの肉切れのことです。その肉には、針金が付いていて、それは人間が作った恐るべき罠だということを発見したのです。さらに、釣られずに肉切れだけ食べる技も編み出し、この業績により、父蟹は勲章を貰いました。
いっぽう、翔太のお父さんは、賞には縁のない人でした。会社でも家でも、ひっそり暮らしています。でも、海遊びのときだけは別人です。子供の頃から浜で遊び、浜で育った男です。磯カニ釣りには一家言あります。もし、このお父さんに父の威厳というものを見せる機会があるとしたら、蟹釣りしかありません。
父蟹も、翔太のお父さんも、それぞれ蟹釣りには思い入れがあるのです。そして、いままさに、この二人の父親に率いられた両家族の、壮絶な戦いが始まったのです。
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