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おひなさまのダイエット
キミちゃんが住んでいる家は、築ン十年の、二階建ての一軒家です。その二階の天井裏には、一匹のネズミが住んでいました。夜ごと、壁の裏を伝っては、台所まで出かけ、お米やなんかを、ちょっと失敬しては、暮らしを立てておりました。
天井裏は、ふだん使わない物をしまっておく物置になっていて、いくつもの箱がおいてありました。その箱のいくつかには、キミちゃんのお母さんが嫁入り道具として持ってきた、立派な雛人形が入っています。
(この箱には、何が入っているのだろう)
気になったネズミは、箱の隅っこを齧ってみました。すると中から声がしました。
「こりゃこりゃ。わらわの安眠を邪魔するは、何者ぞ」
びっくりしたネズミは、ピタッ、と齧るのを止めました。しかし、声は続きます。
「おぬし、ネズミであろう。わらわにはお見通しじゃ」
ネズミは、つい、かしこまって答えました。
「ははー。たしかに、わたくしめは、ネズミにござります」
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