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「ずっと、手探りで探し続けてた。あるかもわからなくて、必要なものなのかもわからないままずっと、手を伸ばしてた」
「意味のないことをしてたんだね。気にしなきゃ、気にならない違和感だった筈なのに。せっかく、身近な人が死んでしまう苦しみを感じることもなく幸せに暮らせるようにしたのに、なんで無為にしちゃうのさ」
「無意識の中にもう、まーちゃんがいるんだ。普段の生活にまーちゃんの残したものがあるんだ。ふとした時に、足りないものが浮き彫りになる。まーちゃんが、色々なものをくれたからら。僕は例え死んでしまうのだとしても、最後の一瞬までまーちゃんと一緒にいたかった。まーちゃんの、生きた証になりたかった。それが僕の幸せだから」
「知ってるよ。誰よりも知ってるに決まってるじゃん。そんなこと。キミは、誰よりも私のことが好きだったからね。でもね、私の幸せはキミが未来永劫ずっと幸せでいることなんだ。死んでしまう私になんか縛られず、新しい人と恋をして、家族になって、幸せになってほしい。その中で、死んだ彼女なんて、誰にも超えられない壁になるわけにはいかないんだよ。それなら、忘れてなにもなかったように過ごしてほしかった。それが、願いだった」
そして、彼女は付け加えた。ーー私は、キミのことが大好きだからと。
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