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「こないだはジャスミンティーはもう飲まないし、ポテトも食べないって言ってなかった?」 「...うん、言った...かもね?」 「かもねって...花絵アンタ、...いや、まあ別にいいんだけど。そもそも好きなものをもう飲まない!食べない!ってわざわざ言わなきゃいいのに」 「いや、あの時の決意は固かったの...!」 呆れた様子でそう言った瑠里子を軽く睨んで頬を膨らませると、彼女はごめんごめん、と言いながら、リップクリームを取り出して、唇に塗りつけた。 つややかになった唇がてらてらと光って、ほんのりと色付いていた。 「もういいの。ジャスミンティーも飲むし、ポテトフライも食べるし、カップ麺も食べるの」 注文をしていた飲み物をさきほどと同じ店員さんが運んできてくれると、すぐさまストローを刺して、ジャスミンティーで喉を潤した。 前の喧嘩では、瑠里子に決意表明をしていた。 昔から彼が好まない、と言っていたジャスミンティーとポテトフライとカップ麺を飲むのも、食べるのもやめると声を大にして告げていた。 それまでも飲む回数や食べる回数を減らしていたのだが、それでも我慢することができないでいたのだ。その決意からはぱたりと一切、口にすることはなかった。 しかし、すでにその決意は破られた。 「どしたわけ?ポテトもカップ麺も、もういいの?」 「そう。もう食べていいの!」 「喧嘩にしては今回の決意はもたなかったわね」 喉を嚥下するジャスミンティーがごくり、と音を鳴らした。いや、意識した途端その音が大きく聞こえた。さほど時間は経っていないが、ポテトフライがやってくると、すぐさま付属で付いているケチャップとマヨネーズをお箸で混ぜてオーロラソースにした。 「オーロラソースにすると美味しさが上がるよね」 「わかる、それ。ほんとそう。私も基本オムそばとかもソースじゃなくて、オーロラソースにしちゃう」 「わかる!......ほんと、瑠里子とは食べ物の好みが合うわ~」 「えー、そう?」 「そうなの!」 お互いにポテトフライを頬張りながら、止まらないわーと同時に言ったものだから可笑しくて、吹き出した。 すると、瑠里子が急に真面目な顔になって会話を戻した。
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