fatal affection

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「ねえ、あなたは誰?」それは僕が聞きたいことでもある。だが君こそ誰なんだとは言い返さない。 「僕は瀬川ロメオ。呪術師だ。まあ君も知っているだろうが世間の嫌われものさ」 「私は呪術師というのを全く知らないわ」 「本当かい?周りにそういった人はいなかったのかい?」彼女は静かに首を振った。 「呪術師というのを知りたいわ。少し説明してくれる?」 「呪術師を説明するというのは難しい。人の見方によっていろんな見え方がある。人の道に外れた研究をしているとか、例えば人は血液の代わりに生理食塩水をどれだけ入れることが出来るのか?といった人体実験をする人たちだとか。あるいは、今までしてはならないと思っていたことを何らかの世の中に役に立つように考えることでもある。食べると地獄を見るほど下痢をするキノコは石灰に混ぜればおいしく食べられるとか。考え方は様々だ」 「あなたは何をしているの?」 「僕かい?僕は、何をしているんだろうな。好きな研究をして飽きたら猫を追いかけて遊んだりとか、大した呪術師じゃないよ」僕がそう言うと彼女はじっと見つめてくる。 「そうじゃない」 「そうじゃない?一体他に何が聞きたいんだ?」 「今のあなたには分からない。でもこのことは意味のない質問じゃない」     
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