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チュパカブラvsアナコンダゾンビ
少女はキャンプ場の喫茶店の店先で、テーブルに一人で座って、ぼんやりとクリスタル湖の方を眺めていた。
細く華奢な体つきに、長く滑らかな髪ーー
憂いを帯びた瞳が年齢に相応しからぬ魅力を与えていた。アランはじっと彼女に見いっていた。
「あら、お友達?」
「え? い、いや違うよ! 知ってるけどさ!」
アランは彼女の事は知っていた。クラスは違うが、学年一の秀才として知られるアナスタシアだ。
病気がちという事で、あまり学校には来ないし、友達もいないらしい。
実を言えばアランは入学式で彼女を見てから、ずっと気になっていたのだ。
今もクリスタル湖の喧騒を眺める彼女は、寂しそうだった。
キャンプ場に来ているのは家族と一緒なのだろうか。
アランは男として、彼女の憂いを晴らしてやりたいと思う。
「ほら、行ってきなさいよ」
母がアランの背を押した。楽しげに笑っている。
「か、母さん! ぼ、僕はね!」
「そんな事してたら他の男に取られちゃうわよ」
見ればアナスタシアに水着姿の若者が話しかけていた。それを見た途端、アランは駆け出した。
「ふふふ」
母はアランの行動が嬉しくも寂しかった。
「ま、待った!?」
アランは息を切らしてチャラ男とアナスタシアの間に割り込んだ。
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