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チュパカブラvsアナコンダゾンビ
「ち、男連れかよ」
チャラ男は舌打ちし、別の女性に声をかける。ナンパ師らしい。
「あなた……」
アナスタシアは目を丸くしてアランを見つめていた。
「僕はアラン」
アランは落ち着いて言ったが、その頬は赤くなっている。暑さのせいではあるまい。
「知ってるわ、いつもあなたが二位だもの」
「え?」
アランは驚いた。そして嬉しかった。アナスタシアはアランを知っている。
「学年二位のアランでしょ。あなたのおかげで、私は勉強がはかどるわ」
「そ、そうなんだ」
「……座ったら?」
アナスタシアはアランに向かいの席をすすめた。年齢不相応に憂いを帯びていた彼女の顔に、僅かに笑みが浮かんでいた。
「う、うん」
アランはイスに座り、アナスタシアと向き合った。彼の心臓は人生で始めてなくらい、激しく高鳴っていた。
「……ドーナツ食べる?」
アナスタシアは自分に運ばれてきたドーナツをーー丸い皿の上にハート型の穴が空いた、女性に人気のドーナツだーー半分に割り、片方をアランに差し出した。
「どうぞ」
「う、うん」
アランは半分になったドーナツを受け取り、一口かじった。途端に目をむいた。
「あら、お気に召さなかった?」
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