2.恋は甘くて苦い 彰浩×美琴

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「おめでとう。美琴」 サラリと言った俺に、美琴は小さくため息をつくと、言葉を発した。 「あなたって、……」 「あなたじゃない。彰浩」 上からかぶせるように言った俺に、美琴は言いかけた言葉を言えず口をパクパクさせていた。 その姿が可愛らしくて、おもしろくて俺は笑うのをこらえながら言葉を続けた。 「呼び捨てでも、あきくんでもなんでもいい」 俺は久しぶりに素で話せることに、自分でも驚くほどどんどんと言葉を浴びせた。 「もう!」 そんな俺を見かねたように、美琴は声を上げると俺を睨みつけた。 「なんでもいいけど、いつも初対面でこんなに話すの?これだから自分に自信のある男って……」 この言い方だと、男で嫌な思い出もしたのだろうか? そんな疑問が頭を過り、俺はゆっくりと言葉を発した。 「いつもじゃない」 「え?」 その言葉に驚いたように、怒っていた美琴は俺を見上げた。 「いつもこんな風に声をかけない。いつもの俺は、花屋の俺だから」 その言葉の意味を少し考えた後、美琴はバラの花に視線を向けた。 「そう。じゃあいい」 これが俺と美琴の出会い。
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