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宇宙人の逆襲
己の全てをこめて、十兵衛は左肩からぬっぺらほふに体当たりを敢行した。
――ごっつおおおい
奇妙な音を立てて、ぬっぺらほふの体が揺らぐ。それは関節部のパーツがこすれて生じた音だった。
「――御免!」
十兵衛は三池典太の刃を打ちこんだ。
拝み打ちの一刀が、ぬっぺらほふを切り裂く。
刃は切っ先でぬっぺらほふの肌を一直線に切り裂いたのみで、両断にはいたっていない。
それでも人間ならば絶命してもおかしくない、心胆寒からしめる一刀であった。
そして、ぬっぺらほふの中には、
「な、何……?」
十兵衛は、ありえないものを見た。
それは機械の部品であり、そしてぬっぺらほふを内から操縦していたのは、緑色の髪をした美女だったのだ。
――ふよふよふよふよふよふよ
突如、暗い上空から降りてきた光の輪。
それがぬっぺらほふを包み、上空に引き上げていく。
十兵衛は光の先を見た。
果たして、高き夜空に浮かぶ大きな船を見た。
(空を飛ぶ船だと?)
驚く十兵衛の前で、ぬっぺらほふを吸い上げた空飛ぶ船は、夜空の彼方へと飛び去った。
「あれは…… 何だ?」
「御神君様から聞いた事があるわ…… 宇宙人(そらじん)の存在を……」
「宇宙人(そらじん)……」
それが十兵衛の新たなる敵だというのか。
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