宇宙人の逆襲

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宇宙人の逆襲

 彼の胸に熱き闘志が燃え盛った。 「宇宙人(そらじん)だなんて、ワクワクしちゃうわね!」  天女春日局は一人、嬉しそうだった。    *****  追求と夢は似る。  兵法の練磨も机上空論から始まり、それを如何にして現実のものとするか――  理想と現実をすり合わせるという心身消耗の連続……  その果てに一つでも、ものになれば幸いだ。  武をもって現実を知り、文を学んで理解を深める。  それが文武両道の真の意味である。  無刀取りを体得せんとする十兵衛は、終わりなき文武両道を歩んでいた……  江戸城の庭に今宵も十兵衛の姿あり。  右目に刀の鍔を眼帯としてかけ、着流しの帯には三池典太の鞘を差していた。  彼の側には(十兵衛以外には見えないが)天女春日局が固唾を飲んで、前方を見つめていた。  月光に照らされた二人の前方には、宇宙人(そらじん)の闘士がいた。  ――フシュ~……  全身を鎧に包んだ異星の戦士。  気力全身に満ち、一分の隙もない。  できる、と十兵衛は踏んだ。  その闘士は、鬼の顔を思わせる面を外した。 「なんと」 「あらまあ」  十兵衛と天女春日局は同時に声を漏らした。  現れたのは勇ましくも美しい、女の顔であった。     
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