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宇宙人の逆襲
女闘士は全身の鎧も脱ぎ捨て、肌の露出の多い姿になった。
後世に言う、ビキニ姿であった。
艶かしい戦姿で、女闘士は薙刀状の長柄武器を構えた。
十兵衛との対決に、いささかも怯んだ様子はない。
「是非もなし」
十兵衛は三池典太を抜いた。
「お相手つかまつる」
月下に十兵衛と、宇宙人(そらじん)の女闘士の戦いが始まろうとしていた。
十兵衛は右手の三池典太を下段に提げた。
対する女闘士は薙刀の刃をやや下げて、十兵衛に突きつけていた。
十兵衛の脳裏には懐かしい父との修行が思い出されてきた。
――覚えずとも良い。一度は体を通しておけ。必要な事は残る。
父宗矩は十兵衛に刀のみならず、槍、棒、薙刀、弓など様々な武器に触れさせた。
結局は、隻眼が理由で扱いに習熟しなかったが、それらも十兵衛にはいい経験となった。
(重いな)
頭の隅で十兵衛はぼんやりと考えた。薙刀の刃の重さは、体が覚えている。
眼前の女闘士の手にした薙刀状の武器はは、刃が大分重そうである。
受け止めるのはできそうもない。
当たれば刃は肉を裂き骨をも断つだろう。
(ここが死に場所かな……)
十兵衛の左目は細められた。
死を覚悟した彼の意識は、無の境地に到っていた。
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