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宇宙人の逆襲
「……やるわね、流石は三厳殿」
天女春日局は大奥の支配者時代の厳しい眼差しで言った。
「――さ、子作りよ!」
天女春日局のシリアスモードは三秒しか保てなかった。
楽しそうにニヤニヤしながら、天女春日局は十兵衛と抱えられた女闘士に詰め寄った。
「あなた、そのために来たのよね?」
天女春日局の問いに女闘士は頬を赤らめながら、うんうんと首肯いた。
どうやら女闘士には天女春日局の姿も見えるし、声も聞こえるらしかった。
「さ、十兵衛殿。わたくしの秘密のあずま屋へ連れていきましょう」
「な、なんですと……?」
十兵衛は事の成り行きに呆然としていた。彼の真剣モードはすでに解除されていた。
江戸城の上空に浮かぶ空飛ぶ船からは、光の輪に乗って数名降りてきたが、十兵衛らは気づいた様子もない。
「秘密のあずま屋……」
「そうです。わたくしが藁人形に但馬守(宗矩)の名を書いて、五寸釘を打ちこんでいた秘密のあずま屋です。そこならば誰も来ませんから、遠慮なく」
「つ、局様ー!?」
とんでもない秘密を聞いたせいで十兵衛は激しく動揺した。
*
時は少し遡る。
「ぬっぺらほふ」に遭遇した翌日、十兵衛は父である宗矩に宇宙人(そらじん)の事を尋ねた。
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