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宇宙人の逆襲
宗矩は知っていると答えた。
「きゃつら、宇宙人(そらじん)の女は強者の子種を欲して地に降りてくるのだ」
(真顔で言うな)
心の中で父につっこむ十兵衛だが、親子揃って厳格な表情は変えぬ。
「倒せ十兵衛。倒さねば、お主が首を狩られる」
「父上も遭遇した事が?」
十兵衛の問いに宗矩は、あると答えた。
「我が父、宗厳も遭遇しておる」
宗矩が言うには、石舟斎宗厳は宇宙人(そらじん)の女と一手交えたという。
伝承には宗厳は天狗と遭遇したとあるが、それは実は宇宙人(そらじん)の女だったのではないか。
「父上は、その女をいかがされたのですか」
十兵衛は重ねて問う。
宗矩が生きているという事は、勝利したという事だろう。
答えぬかわりに、宗矩は咳払いを一つした。
「十兵衛、宇宙人(そらじん)の女には必ず勝て。しかし殺すな。無刀取りの神髄、現してみせい」
宗矩は、じろりと十兵衛を一瞥した。
相変わらずの並々ならぬ眼光に、十兵衛は背筋が冷える思いがした。
(子作りしたな……)
十兵衛は思ったが、そんな事はおくびにも出さぬ。
ただ負ければ命を失うという事は理解できた。
殺すなと念を押された理由はわからぬが、十兵衛も女を斬る気はない。
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