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次の日の放課後、僕は部室にいち早く来ていた。すぐにでも先輩の答えが聞きたかったからだ。
昨夜は告白の結果が気になって気になって一睡もできなかった。
いっそのこと、その場で断られた方がまだマシだったかもしれない。
こんなモヤモヤを抱えて生きていくのは堪え難い。もはや死刑執行を待つ囚人の気分だ。
一刻も早く断罪してほしい。
そんな風にネガティヴな覚悟を決めていると、机の上にある一冊の本が目に入った。
ここは文芸部だから本は珍しくないが、机に出しっ放しにしてあるのは珍しい。
先輩も僕も几帳面な性格だから本を読んだらきっちり片付ける。
些細な違和感を覚え、僕は机の上の本を手に取った。
本は文芸部が毎年発行している部誌「あわゆき」の昨年号だ。
懐かしいな。去年、一年生だった僕は先輩に助けてもらいながら原稿を書いたっけ。
あわゆきをペラペラとめくりながら、僕は去年のことを思い出していた。
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