告白

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それが去年のことだ。楽しくてキラキラした時間だった。 その前から先輩のことは憎からず思っていたが、あの共同執筆で僕の恋心が確かなものになったのだ。 なんて懐かしく思い出しながら部誌をめくっていると、先輩が一人で書いたページが出てきた。 「確か先輩は散文詩を書いていたな」 久しぶりに読んでみるか。 『鍵は思い出の雪の中』 あなたは答えない。 出会えたことはハニーな、ロイヤルティーってか? バカな私をどーする? 赤い夢の中で私はナミダをながす。 あーんなにみたのに。 なんだこれ? そこには読んだことのないおかしな文章が並んでいた。 先輩が去年書いた散文詩はこんなわけのわからない詩ではなかったはずだ。 よく見るとこのページだけ紙が新しい気がする。 「さては、このページだけ差し替えて、わざと机の上に部誌を置いといたな」 昨日、僕が先輩に告白してから、今日の放課後までにページを差し替えた部誌を用意して置いておく。 なんて面倒なことを喜んでやるような人なのだ。先輩は。 おそらくこのおかしな詩は、僕の告白に対するメッセージなんだろうけど……こんな回りくどいことまでするなんて。 なんてロマンチックなんだろう。やっぱり先輩のことが大好きで仕方がない。 「このまま読んでも何の意味もない文章だし、先輩のことだから暗号だろうな」 ミステリが好きな先輩らしい。 そういえば前に本を使った暗号について先輩から聞いたことがあったな。 思い出してみよう。あれは確か今年の夏休み前……
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