告白

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「最近スパイ小説で読んだんだけど、昔のスパイは一冊の本を使って秘密のメッセージを交換していたんだって」 先輩が目を輝かせて話しかけてきた。先輩は本を読み終えると、こうして感想や読書で得た知識を楽しそうに僕に話してくれる。 僕も先輩の話を聞くのが楽しいからウィンウィンの関係だ。 「一冊の本でメッセージをやりとりするなんて、どうやるんです? 余白にメモを残しておくとか?」 僕はアホのふりをして話の続きをうながす。 「そんな単純な方法じゃ他人が読んだらバレちゃうよ。もう少し巧妙にやりとりするんだ。 例えば、本とは別に秘密の暗号鍵を使うんだ。86-8-5みたいにね。 この暗号鍵が意味するのは86ページの8行目、上から五つ目の単語さ。 あとは本を読んで単語を拾っていくと、文章が完成するってわけ! 暗号鍵がなければ、いくら本を読んでもメッセージは読み取れないんだよ。 考えられてるねー!」 先輩は楽しそうに教えてくれた。まるで小さな子どもみたいで可愛い。
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