第3話 幽霊屋敷と魔女

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 ベッドへ入っても、なかなか眼を閉じることができなかった。明日から奥様にどう対応するのが最適であるか、何度も同じことを考え続けていた。私の不用意なひと言であれほど奥様が傷ついたことに、自分の軽率さが悔やまれてならない。  私は人が話したくないことを、自らの好奇心で無暗に暴き立ててはならないことを重く学習した。そもそも私は従順なる自動人形であり、人間のための慰みものである。主人の思う通りに動くことが最も求められるべきことで、それ以外のことなどあってはならない。  今後一切、かの少年のことを詮索するのは止めよう。そう固く決めると、私はようやく眼を閉じた。
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