第2話 初めてのお使い

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第2話 初めてのお使い

 翌朝、鶏の鳴き声で目が覚めた。  奥様が私に用意して下さったのは屋根裏の狭い部屋だったが、すっかり子供部屋のように誂えてあった。  小さな勉強机の上にはくすんだブリキの地球儀、書架には背表紙がすっかり陽に焼けた図鑑や児童書の類、窓辺にはレンズに蓋がされたままの天体望遠鏡。クローゼットに用意された服やコートも、綺麗にしてあるが古着のようだ。  銀色の糸で星座が刺繍された青いカーテンを開けると、町の中心にある聖堂が小さく見えた。間もなく朝の鐘が鳴る。私は左手から充電ケーブルを外し、薬指を嵌めた。  階段を下りると、台所では朝食の準備が進められているようだった。コーンスープと思われる湯気の成分、摘んだばかりの瑞々しいバジルの微粒子。すると私の足音に気づいたらしい奥様が、バターナイフを片手に台所から顔を出した。 「おはよう、モナート」 「おはようございます。モナートとは何ですか」 「あなたの名前よ。今日からモナって呼ぶわ」 「ありがとうございます。私の名前はモナート」 「そうよ、モナ。早速だけど、鶏小屋から卵を取ってきてくれる?」 「かしこまりました、奥様」
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