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私は箸で掴んだままだった卵焼きを口に入れる。
担任は進路指導も受け持っているから、間違いないだろう。
私はたぶん就職する。
だから今までずっと就職の進路で進めていたし、説明会だって聞きに行った。
「なんだ? 就職じゃなかったのか?」
「そうだけど……」
「大学、行きたいんだ?」
ルイが顔を覗き込んでくる。
私は何も答えられなかった。
ルイは私が大学に行きたいと思っていることを知っている。
はっきり話したわけじゃないけど、たぶんバレてるんだろう。
担任にもそうだ。
懇談の時、うちの子は就職にします、と親が言った。
そのセリフに、ハルさんはどうしたいんですか? と私は先生に聞かれたのを覚えている。
その時私は少し口籠った。
懇談が終わった後、大学に行きたいのか? と聞かれ、私はそれに首を振った。
けれどあの担任、察しがいいんだよなぁ……。
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