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それから何度か呼び出されているけれど、私は就職すると言っている。
「ご馳走様。行ってくるよ」
「ハル」
「ん?」
「自分の気持ちに嘘を吐くなよ? ハルはハルしかいないからな」
私はルイの言葉の意味がよく分からなかった。
いや、意味はわかる。
意図がわからなかったのだ。
私は曖昧に頷いて教室を出た。
職員室に行きクラスと名前を言うと、担任を呼ぶ前にこっちだ、と手招きされた。
私は中に入り、担任の机まで歩く。
「なぜ呼ばれたと思う?」
「帰っていいです?」
「待て、待て。ハル、本当に就職するのか? 行きたい大学があるんだろ?」
「今更。変えようがないでしょう?」
「まだ試験は終わってない」
どうしろと言うのだ。
私に、あの人に逆らうなんて発想はない。
どうしようもない。
ーー自分の気持ちに嘘を吐くなよ? ハルはハルしかいないからな
直後、さっきルイに言われた言葉が脳内に再生された。
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