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放課後。俺はまだ鎌倉に謝れていない。 謝るタイミングを逃し今になってしまった。その上、あいつまで見失ってしまった。 もしかしたらあそこに。足は既に図書室へ向かい始めていた。 俺は心のどこかで鎌倉がいない事を願っていた。時間が経つにつれ、言い出しにくくなってきた。昨日座っていたあの席にいなければ直ぐに帰ろう。そんな事を考え、本棚の陰からそっとあの席を確認する。 「高崎、何してんの?」 「っ!!!」 ここは図書室。真後ろからの声かけは厳禁。 想定外の反則技で先手を取った鎌倉は、俺の動きを止め、席に着いた。脈まで止まりそうになった。またもや相手のペースに飲まれてしまった。 とにかく最初になすべきは、気持ちを伝える事だ。 俺は鎌倉の向かいに座り、メモに『昨日はゴメン』とだけ書いて渡した。すると、鎌倉がB5ノートを開いて『それだけ?』と返す。 『うん』 『じゃあ帰ったら。邪魔しないで』
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