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まだ根に持っているのか、いや、もとからあんな感じだったか。俺自身、今まで鎌倉のことは気にもしたことがなかったからよくわからない。 授業が終わり、教室は帰宅モードになった。 補習させられる者、掃除当番で残る者、部活へ行く者、いろんな生徒がいるものだ。まるで他人事のように客観的なのは、俺がそれらのどれにも属さないからだ。 幸い補習を受けるほどではないし、掃除当番でもない。部活は、辞めてはいないが、今朝のいざこざで行く気が失せてしまった。かと言ってすぐに帰る気にもなれず、青春を無駄に過ごしている焦燥感に襲われていた。 それなら図書室だ。 図書室なら完全下校時間まで時間が潰せる。その言い方だと青春を無駄に過ごしているのと大差はないが、意味合いはぜんぜん違う。 俺は、新たな出会いを求めて放課後の図書室へ向かった。 いつが最後だったか、恐らく入学後のオリエンテーションで入ったきり来ていない。本は好きだけどこういう場は何となく馴染みがなく、入り辛い。ただ図書室へ入るだけなのに、こうも緊張しないといけないのか。
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