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時代小説は好きだ。小さい頃、爺ちゃんの観ていた時代劇での剣劇がかっこよくて、よく「俺もサムライになる」なんて言ってた。それからずっとサムライに憧れて剣道を始めた。毎日竹刀を振り、真っ直ぐだった。それも今朝までだが。
学校の部活ではよくある話だ。先輩の後輩いびり。
三年生が引退して代替わりした時、時代にそぐわない事はやめようと皆で話し合い、封建的な上下関係を禁じた。始めは良かったが、受け継がれてきた悪しき伝統は繰り返され、今日の朝練で、ある二年の部員が一年に手を上げた。
「俺たちもこうやって鍛えられた」
そいつの言い分だ。
一体なにが鍛えられたと言うのか。大して強くもない学校なのに。理不尽でつまらぬ権力を振りかざす行為に、俺は腹が立って行く気が失せた。
気を取り直し、胸躍らせる一冊を探す。すると、通路で本の落ちる音がした。かわいいブックカバーの本だった。どうやら学校の本ではないようだ。
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