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「無視すんなよ!!何か言う事あるだろ!?」 女は驚きの顔を見せたがそれも一瞬。逆にこっちを睨んで一枚のメモを見せた。 『うるさい!!ここは図書室。言いたい事があるなら筆談して!!大声出すなバカ高崎』 女子は窓際のテーブル席を指差した。 なんで俺を知ってる? 怒りでいっぱいだった気持ちが一気に引いて、倍の勢いで押し寄せる訝る感情。とりあえず向い合せに席に着き、何かを書いている女子を眺めた。 『なんで怒鳴るの!?頭おかしいんじゃない?図書室だよねここ。何かあるなら、ハイ、筆談!』 バンッと音を立て渡されたB5のノートとペン。完全に主導権を握られてしまった。「何かあるなら」と言うが、あり過ぎてまとまらない。そんな俺を見兼ねたのかして、女子がまた何か書き出した。 『男はいいね。その身体は大抵の場合女よりも大きく、身体的アドバンテージは時に相手を征する力になる。同時に心理的にもね。恫喝は相手の心も挫く。』 書かれたものを目で追うが、何が言いたいのかサッパリ分からない。気持ちが顔に出たのか、目が合うなり、また書き始めた。 『つまり、高崎は私を力でねじ伏せようとした。ってこと』 何を言うか。 俺は反論すべくノートとペンを奪い取った。 そして『それはお前が』まで書いた時、突然、女子が机に手を叩きつけ立ち上がって声を発した。
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