2

5/5

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「お前?私にはちゃんと名前があるの!鎌倉!鎌倉 里奈!なにその偉そうな感じ、腹が立つ!」 ビックリした。いろんな意味で俺はビックリした。 もうこの時点で思考停止、頭が真っ白になってしまい何故だか俺は鎌倉に謝って図書室を出た。 帰ってからも俺は、図書室の魔女ーー鎌倉 里奈の幻影に囚われ、何にも手がつかない。あれは逆ギレじゃないのか。しかし、今はあの言葉が気になる。 『身体的アドバンテージ……心理的……恫喝……高崎は私を力でねじ伏せようとした』鎌倉の声が何度も頭を駆け巡る。 眠れない覚悟はしていた。けれど目を開けると朝だった。なんてことはない、しっかり眠れた。時計を見て一瞬焦ったけど、そうだった、部活の朝練はもういいんだ。 清々しい朝。そうか、俺が鎌倉にしたことは、昨日の朝練で一年にしたことと同じか。俺は自分が忌み嫌った理不尽な力を鎌倉に使ってしまってたんだ。あいつに……謝ろう。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加