白の理由

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白の理由

写真家である私は、ある地域にのみ咲くと言われる幻の写真を撮りに、田舎の山奥へ来ていた。 幻と言われる割にその花はあっけなく見つかり、この分なら今日中に東京に帰れそうだ。 軽い足取りで山道を歩いていると、少し広くなった野原の様なところで女の子が一人で遊んでいた。 まだ6才位の小さくて可愛らしい女の子。 地元の子だろうけど、こんな小さな子が山奥で一人で遊んでいて大丈夫だろうか? 心配になって声をかけた。 「こんにちは。」 「こんにちは。」 「何してるの?」 「雪を待ってるの。」 最近寒くなってはきたけど、雪が降るのはまだ先だろう。 「お母さんは?」 女の子は下を指さした。 麓にいるということだろうか。 女の子の指の先には地面が広がっていて、この山の下にはトンネルさえ通っていない。 まだ小さい子が母親の居場所を的確に答えるのは難しかったのかもしれない。 「君、どんな色が好き?」 小さい子でも答えられそうな話題を選ぶ。 「雪の色。」 女の子は迷わず答えた。 「じゃあ白だね。」 女の子は頷く。 「どうして白が好きなの?」 「だって、雪が一番きれいでしょ?」 「確かに綺麗だね。」 子供らしい答えにとても可愛らしく思った。     
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