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「脚を広げて座ってるだけ、それで4時間3万円!」
無機質に言う多香子に続いて、反対隣の人形みたいに可愛らしい子が
「巧く鏡が細工してあるから下の客室には私らの顔は見えへんよ、パンツ見えてるだけ、ふふ」
あっさり言うてスマホを弄り始めた。
「そしたらスタート!よろしくぅ!」
軽い男の人の声に押されてつい、脚を開けてしまった・・・恥ずかしい・・・脚が閉じかけると始まる頭の中の『お金』のダンス・・・。
問題集も広げたけど、微分も積分もあったもんやない。でも隣の多香子は背筋をシャンとして勉強に集中してた。
さっきのファッションビルで着替えて心斎橋駅に着いたらもう夜やった。
「今日は疲れたやろ?早よ帰って勉強やで」
「多香子は?」
「私はまだバイトがある。今年中に百万円貯めて後は試験に備えたいから」
「ひゃく・・・」
ビビってる間に多香子は人混みに消えた。
電車に乗ろうと地下階段を降り始めた。同じ姿勢をしてたせいか脚が絡まる。
「あっ!」
ダダダダァァァ・・・七段ほど落ち・・・。
「痛っ」
(さんりんぼうやな・・・エエこと何にもなしや)
立ち上がる気力もない。そのうち白いスキニーの膝小僧から血が滲んできた。ついでに涙も滲んで立ち上がる気力も出んかった。
(ウチの白いパンツ・・・キレイなままでおれるんやろか・・・)
膝を抱えてしばらくそこで泣いていた。
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