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Nの店にあるのは椅子と、テーブルの台座に大きな水晶玉があるだけだった。
客の男がそこへやって来た。
「カットお願いします」
「どうぞ座ってください」
Nが水晶を撫でると、男が数時間前、自宅にいた映像が現れた。
男「美奈子、そこのリモコンとって」
妻「はぁ?美奈子って誰よ!」
Nはニヤけて頷いた。
「この美奈子のセリフですね」
「そこ、カットで」
Nは両手でチョキを出し、切る真似をすると、そのセリフはカットされた。
男が自宅に帰ると妻は何事もなかったように夕食の支度をしていた。
朝、あの男の妻がその店に来店した。
「カットお願い」
「ああ、奥様」
Nは水晶玉に昨日のリビングでの様子を映しだした。
妻「ねぇ直也、明日遅くなるから」
夫「直也?誰だよ、お前まさか!」
Nは『直也』のセリフをカットした。
その刹那、妻はNの唇を奪った。
「奥様、まずお二人の関係をカットしていただかないと」
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