横断歩道

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 並んで歩きながら、何か言わなきゃと(あせ)っていた。  ここで引き止めないと、もう二度と戻ってこない気がしていた。ユキが横断歩道を渡っていく。 「いかないで」  小さく呟いたその言葉は、ユキに届くはずもない。  どうか気づかないで。  私の気持ちに気づいて。  矛盾した感情が、爆発する。  2人だけの世界は、チョコレートみたいに甘く、ドロドロしていて。
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