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外出したという魔女は今だ帰らず、僕は立ち往生状態にあった。正直、これ以上待てる気がしない。
「テオ、率直に言う。僕は死にたくない。死ぬのが怖い。それじゃあ駄目か」
不思議な事に病の進行は遅く、あれ以降あまり症状は出ていない。だが、心の中では常に時間が付き纏っていた。
寿命は平均して二十五年。残り半年持たないかもしれないのに、一歩も動けないのは苦しい。
早く、早く心臓を手に入れたい。いや、手に入れなきゃいけない。
「相変わらず君はせっかちだな。生まれ変わったら新たな人生が歩めるんだ。それで良いではないか。生まれ変わったらなりたい物とかは無いのか?」
生まれ変わりの伝承はここでも有効らしく、テオは幾度となく話題を出した。
どうやらテオは、転生に憧れているらしい。
僕にとっては、からかわれているようにしか思えなかったが。
「……そんなに言うなら、魔法を解いて貰えばいいじゃないか」
「解けないんだよ。この魔法は強力でね、誰かに殺されなければ死ぬ事すら出来ないんだ」
一度、深い眠りに付き、体をリセットして生まれ直す。それが生まれ変わりだ。
前世の記憶は、殆どの場合幼児期に消えてしまうが、誰もが持って生まれるらしい。
だが、それでは自分でなくなるのと同じだろう。
「……それでも僕は生き続けたい。不死の君には分からないかもしれないけど、やっぱり死にたくないんだ」
何ヶ月も一緒にいるからか、気付けば僕らは友のようになっていた。最初はあった気兼ねや恐れも、随分と薄くなった。
無論、テオの方がどうかは知らないが。
「……それに、きっとテオとなら退屈じゃないよ」
策の一つかもしれないと疑いながらも、真逆の存在に不思議と心引かれた。
溜め息を吐いたテオは、真顔になる。そうして、壁に立てかけていた箒の柄を握った。
「そこまで言うなら、人がどうしてリセットするか教えてあげよう」
「えっ……?」
語尾が終わる瞬間、目の前で閃光が広がった。
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