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言葉と本音
それからと言うもの、僕らは多くの言葉を交わした。
納得させる理由を叩き出す。という何とも曖昧なゴールに向かうべく、何度も言葉を交えた。
――と言っても、可笑しなことに、そのどれもに険悪な空気はなかった。僕の焦燥とは裏腹に、テオはいつだって穏やかなのだ。
口調はさておき、伝承の中の魔女とは全くと言っていいほどに気質が違う。
ある時、テオ本人が「魔女は嫌いだ」と言っていた。そこから、二人は気の合わない者同士だったのではと推測した。
だから、理由さえあれば殺しても良いと言ったのだろう。
ローテーブルに菓子と紅茶を用意し、向かい合って話し合う。
テオは時々、他愛ない話を織り交ぜて来たりもした。村や家族の話を聞きたがったり、好物や未知の世界の話なんかも振ってきたりした。
そう、最初の通り、楽しんでいるかのように。
刺し違えるような作戦を練るよりは良いと、言葉の駆け引きを繰り返してきた。
だが、数日過ごして思う。
テオは、折れる気があるのだろうかと。
ないならば、この会話には何の意味があるのかと。
それでも、最善策には変わりないと繰り返すのだが。
それから、また数ヵ月がたった。
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