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太陽が登り始める午前四時ごろ、クルは目を覚ましました。横の温もりに一瞬驚きつつ、冷静になって昨夜の出来事を思い出します。
静かに眠る少女――レウはとても可哀想な境遇にありました。自分と同じで両親がおらず、一人で生きて来た所まで一緒でした。
綺麗な髪と瞳は一族特有のものらしく、それだけで目を付けられてしまうというのも不憫です。
ですが、本当に綺麗な姿をしているので、そう考える人がいるのも頷けてしまうのでした。
起きたてだからか咳が出ます。血も一緒に出て、指の隙間から滴り落ちていきます。
クルはレウを起こしてしまわないよう、いつもより少しだけ早く食料を探しに行く事にしました。レウの為に御馳走を探す為でもあります。
クルはワクワクしていました。一人で死んでゆくと考えていた矢先に、レウと出会えたのですから。誰かと一緒に居られるのですから。
今日みたいに一緒に眠ったり、ご飯を食べたり、星空を見上げたり出来るのですから。
嬉しくて、クルの足は自然とスキップしていました。
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