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とある村外れ、一人の少女が走っていました。人の居ない方へ――暗い森を無心で駆けて行きます。
と言うのも、少女は白い髪に赤目の、ヴィラ族という美しい一族の一人だったからです。
ヴィラ族は、村では高値で取引される、所謂、希少価値の高い存在として扱われていました。
この少女も例外ではなく、悪い人売りに捕まりそうになった所を逃げてきたのでした。
とは言え、美しい容姿ゆえ酷い扱いは受けません。裕福な家に買われ、装飾や人形のような扱いを受けるのです。
それでも、誰かの所有物になるという事は、耐え難い恐怖でした。
だから、少女は逃げていたのです。
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