白い少女と赤い少年

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 これまた村から遠い場所、森の奥に一つの家がありました。その家は今にも崩れそうで、人が住むようには見えません。  ですが、そこには少年が、たった一人で暮らしていました。  少年が咳をすると、手には血が付きました。何度も繰り返し、血は衣服へと滑り落ちます。  そう、少年は病に侵されていました。  ですが、貧乏な所為で治療するお金も無く、気付けば森を下ることさえ難しくなっていました。  嘗て共に暮らしていた両親も、その病に掛かっていました。そして、そのまま死んでしまいました。  だから少年も、自分が死ぬことを知っていました。  不安や寂しさには大分慣れました。けれど、叶うなら誰かに見届けて欲しいと、今日も星を見上げるのでした。
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