白い少女と赤い少年

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 案内された家は、酷く廃れていました。  けれど、今の少女にとっては、身を休められる場があるだけで十分でした。 「はい、こんなもので悪いけど」  少年は、割れた器に水を入れてくれました。器が一つしかないのか、少年は飲む様子がありません。 「い、頂きます」  少年含む目前の景色を観察しながら、一口水を含みます。その水は、疲れた体に染み渡りました。 「……た、助けて下さりありがとうございます……貴方は一人でここにいるのですか?」 「そうだよ。僕の名前はクル。君は? どうして森の中にいたの?」  錆びれた赤い服の少年は、優しく尋ねてきます。服装は怖いものの、やっぱり悪い人には見えません。  それに、助けて優しくしてくれたのだから、きっと彼は良い人です。  少女は、そんな少年に助けを求める事にしました。 「……私はレウ。人売りに捕まりそうになった所を逃げてきたの……だから行く宛がなくて……ここにいさせて下さい……」  敬意を見せるべく、そっとお辞儀もします。 「顔を上げて。大変だったね。何もしてあげられないけど、ずっとここにいると良いよ」  長く気を張っていた少女にとって、全てを受け容れるような優しい声は、さっき飲んだ水よりも心に染みました。 「……ありがとう……」  こうして、二人の生活が始まったのでした。
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