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私は昔から本が好きな子供だった。
《物語の世界》の主人公は、明確な夢があって、
自分の進むべき道を迷わず進んで行く。
失敗さえ糧にして、着実に成長し、
そこには無駄な事なんて何一つ無い。
それは憧れのような世界だ。
本を読んでいると、まるで自分が
そんな素晴らしい主人公になれたような気になれるのだ。
今私は本を片手に通学電車に揺られているが、
頭の中では、世界一の魔法使いになるためのトーナメントに出場していた。
私は、昔私を助けてくれた魔法使いに憧れ、
魔法使いになるための修行に励んでいた。
全く魔法が使えなかった私は、修行で誰よりも努力し、
高度な魔法技術と強い精神を鍛え上げた。
そうしてまさに今、ついに魔法使いの世界トーナメントで優勝しようとしていた。
しかし、それは叶わなかった。
電車が目的地に到着したからだ。
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