第一章

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あれ、性別気にしないとか言ってたの、聞き間違いじゃなかったんだ。 っていうか、これ、もしかして危ない状況? うわ、九条さん意外に睫毛長い。 瞳も案外茶色が強いんだな。 違う。 違う違う、そうじゃなくて。 ふわりと包まれる香りは、嗅ぎ慣れた九条さん愛用の香水。 頬に手を添えられビクリと肩を震わせたら小さく笑われた。 ダメだ、頭が働かない。 強く握られた手が震えてくる。 口に触れる息が、熱い。 「呼んで……圭介」 熱に操られるように、勝手に口が開く。 「冬、吾……さん」 濡れた瞳が細められたと思ったら、目の前まで近づいてくる。 その近さに思わず目を瞑れば、こめかみに熱く柔らかなモノを感じた。
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