第二章

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それでも関係が続いてるのは相性が良いのか、単に向こうが離れたがらないのか。 俺が考えても仕方ないけどね。 「…そろそろ用意した方がいいんじゃない?遅刻するよ」 「ん――……」 のっそりと起き上がった孝也は、俺にキスを落としてから準備のために寝室に向かった。 食べ終わった食器をシンクに持って行き水を流す。 「あ、孝也ー」 「んー?」 「夕飯どうすんだ?食べてくんの?」 「や、帰ってから食べる。から、用意お願いー」 「おー、」 用意し終わったらしい孝也に後ろから抱き込まれる。 手を泡だらけにしているため体重を預ける形で返事をした。 「帰るとき連絡するわ」 「りょーかい。いってらっしゃい」 孝也が出て行き、扉がきちんと閉まるのを確認してから手に付いた泡を落とす。 ひっくり返したままだったスマホを手に取り、受信画面を開いた。 ------------------------ From 九条冬吾 Sub Re:お疲れ様です 楽しみにしてる ------------------------ 自然と頬が緩んでくる。 うん。 なんだかんだ言い訳したって結局は、俺は冬吾さんと連絡が取りたい。 彼が出張から帰って来て、近々会えるのが嬉しい。 メールじゃ物足りない。 直接話したいことが沢山ある。 「レポート、早めに終わらせないとな」 冬吾さんと会うのに課題のこととか考えたくないし。 一日の予定が決まった俺は気合入れも込めて腕まくりをし直し、食器を手に取った。 「目、疲れた……」 目頭を押さえて上を向く。 洗濯掃除と一通りの家事を終えて向かったパソコンの前。 今日中に終わらせてしまおうと、ほぼ休憩なしで資料と睨めっこ。 あとは推敲だけというところまで終わったし、流石に肩も凝ってきたところで時計を見たら、夕飯の準備に丁度良い時間になっていた。 …そんなに経ってたのか。 あ、外薄暗くなってきてるわ。 え、てか俺、無意識に電気だけはつけてたのか。 「うーん…流石に単位がでかい科目だからなぁ……」 とっておけば後々かなり楽になるから、落とすことだけは絶対したくない。 なんて思ってたら自然とレポートにも力が入っていたらしい。
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