953人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
それでも関係が続いてるのは相性が良いのか、単に向こうが離れたがらないのか。
俺が考えても仕方ないけどね。
「…そろそろ用意した方がいいんじゃない?遅刻するよ」
「ん――……」
のっそりと起き上がった孝也は、俺にキスを落としてから準備のために寝室に向かった。
食べ終わった食器をシンクに持って行き水を流す。
「あ、孝也ー」
「んー?」
「夕飯どうすんだ?食べてくんの?」
「や、帰ってから食べる。から、用意お願いー」
「おー、」
用意し終わったらしい孝也に後ろから抱き込まれる。
手を泡だらけにしているため体重を預ける形で返事をした。
「帰るとき連絡するわ」
「りょーかい。いってらっしゃい」
孝也が出て行き、扉がきちんと閉まるのを確認してから手に付いた泡を落とす。
ひっくり返したままだったスマホを手に取り、受信画面を開いた。
------------------------
From 九条冬吾
Sub Re:お疲れ様です
楽しみにしてる
------------------------
自然と頬が緩んでくる。
うん。
なんだかんだ言い訳したって結局は、俺は冬吾さんと連絡が取りたい。
彼が出張から帰って来て、近々会えるのが嬉しい。
メールじゃ物足りない。
直接話したいことが沢山ある。
「レポート、早めに終わらせないとな」
冬吾さんと会うのに課題のこととか考えたくないし。
一日の予定が決まった俺は気合入れも込めて腕まくりをし直し、食器を手に取った。
「目、疲れた……」
目頭を押さえて上を向く。
洗濯掃除と一通りの家事を終えて向かったパソコンの前。
今日中に終わらせてしまおうと、ほぼ休憩なしで資料と睨めっこ。
あとは推敲だけというところまで終わったし、流石に肩も凝ってきたところで時計を見たら、夕飯の準備に丁度良い時間になっていた。
…そんなに経ってたのか。
あ、外薄暗くなってきてるわ。
え、てか俺、無意識に電気だけはつけてたのか。
「うーん…流石に単位がでかい科目だからなぁ……」
とっておけば後々かなり楽になるから、落とすことだけは絶対したくない。
なんて思ってたら自然とレポートにも力が入っていたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!