序章

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序章

昔々ーー。 この世界のとある場所に、とてもとても大きな国がありました。 その大きな国には、当然大きくて立派なお城。大きくて賑やかな城下街。 緑溢れる土地に、華やかで豊かな暮らし。強大な武力と兵力で、戦では負け知らず。 それは、誰もが羨む平和な国。 ……。 私の名は(おう)、18歳。 二週間程前に故郷の里から引き離されて、私は明日、この国の王様の妃になる。 王族でもない、なんの教養も礼儀も知らない。何処にでも居そうな黒髪に黒い瞳の、特別見目麗しい訳でもない私が……。 満月の夜に、夢を叶える事が出来るーー。 そんな、不思議な力を持って生まれて来てしまったから……。
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