序章

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*** その力は、物心ついた時から当たり前のように使えるものだった。 満月の夜になると、自分の中に暖かい何かが生まれるみたいに力が宿って「今なら何でも出来る!」って、感じるの。 ある時は、怪我や病気をした里の人を治し。またある時は、天気を操り里の作物が育ちやすい環境を整えた。 「この人を助けてあげたい!」って想いが強いほどその力は強力みたいで、私にいつも、里のみんなを護る能力(ちから)を授けてくれた。 大好きな里のみんなの為に、この能力(ちから)を大切に使って生きていきたいと思っていた。 けれど……。 「月姫(つきひめ)を何としても手に入れろッ!!」 何処から、そんな話が流れたのだろう? 月の力を宿した娘ーー月姫(つきひめ)。 私はいつの間にか、自分の知らない(そと)の世界でそう呼ばれるようになっていたのだ。 里のみんなを助ける為の能力(ちから)が……。 その能力(ちから)のせいで、大好きな里のみんなが死んでいくーー。 大国の王様は、私を……。 ううん。私の能力(ちから)を自分のものにする為に、里のみんなを殺し、焼き払って消滅させた。
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