【第17話】『異変』

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「お前ら何があったんだよ、俺ら何も聞いてないんだけど。」  ケイが出ていった部屋の中でため息をつきながら言うアツシ。そのアツシの言葉にタケルは頭を抱えて言った。 「俺にも分からんわ…アイツが何考えてんのか分からん…ケイが分かんねぇんだよ…」  タケルの言葉に静まりかえる室内。 「…俺、ケイを見てくる。」  そう言ってリョウは部屋を出ていった。    ―――さんざん探し回ったあげく、リョウが行き着いたのは屋上。柔らかな暖かい風が吹いている。当たりを見回すと、フェンスを掴んで遠くを見ているケイがいた。リョウはゆっくりとケイに近づき、声をかけた。 「ケーイ。」 「………」 「何が見えんの?」 「……何も見えない…」  ケイはただ遠くを見て言うだけだった。少しずれ落ちているケイの長袖。包帯の巻かれていない所にも新しい切り傷がたくさんあった。指先にも。  リョウはそんなケイの側へ寄ると肩に手を回し、優しく聞いた。 「タケルと何かあったか?」 「………」  何も答えないケイ。リョウは一呼吸置くとフェンスにもたれ、タバコに火を付けて煙を吐き出した。 「1年くらい前にもこんな事あったよな。あの時も俺がお前なぐさめてさ。やっぱお前は変わってないなぁ。」  その時、ケイが小さな声で言った。 「……俺、変わっちゃったよ。」 「なんで?」  聞き返すリョウ。  ケイは涙の揺れる目でリョウを見つめ、微笑んだ。その微笑みがリョウにはとても悲しく映った。 「……俺…おかしいって自分でも思うんや。…タケルを自分のものだけにしたいって…ずっとそう思ってる…だから苦しいんや…タケルが他の人と一緒にいるっていうことが。どうしようもなくなる…。ねぇリョウちゃん…俺、おかしい…?」 「………」 「俺……もうラクになりたいな…このままここから飛び降りて死んじゃおうかな…」 「…っ!!」
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