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パシッ!!
笑いながら言うケイの顔をリョウは思いっきりひっぱたいた。
思わずよろけるケイ。リョウはケイの腕を掴み、大声で言った。
「ふざけた事言うな!!簡単に死ぬとか言うなよ!!」
するとケイは涙を流しながらリョウの服を掴み小さく笑っていた。
「っははっあははっ」
「ケイ!!」
「あはははっ……あぁ……じゃあさ!!」
「……」
「じゃあどうしたらええんよ!?俺はもうこんなの嫌だ!!こんな自分も、こんな世界も全部嫌だ!!生まれて来なかったらよかったんや…こんなんやったら……もう………っ……つっ……」
その時、ケイの体の力が抜け、ズルズルと落ちていった。
「……ケイ?おい、どうしたんだよ!?」
「……っ……ぁ………」
この前と同じ、激しい頭の痛みがまた襲ってきた。前よりも痛みが激しく、もう立っていることすらできない。ハァハァと激しく息を切らすケイ。リョウはかがみ込んでケイの体を支えながら慌ててアツシに電話をかけた。
「…あ、アツシ!!ケイがおかしいんだよ!!はやく来て!!屋上!!」
「……ぅっ……ぁ…」
苦しみもがくケイ。額には汗がにじみ出てきていた。
「おい…どうしちまったんだよ!!ケイ!!」
自分の名前を叫ぶ、リョウの声がどんどん遠くなっていく。ケイの目の前は次第に光を失っていった。
その後、アツシやスタッフがかけつけ、岡崎の車でケイは病院に運ばれた。
タケルは…部屋から1歩も動くことができなかった。怖かったのだ、これ以上ケイが変わっていくのが。ケイを変えてしまったのは自分なのかもしれない。それとも変わったのは自分の方?だが、タケルにはどうすることもできなかった。今のケイに何と言えばいいのか、何をしてやればいいのか。もう何も分からなかった。
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