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その後、病院で診察や検査を受けたが、何も悪い所は見つからなかった。結局ケイの頭痛の原因は過度の疲労とストレスによるものだろうと診断された。
心配するアツシ、リョウ、岡崎に大丈夫、と笑いかけるケイ。
診察後、アツシとリョウはまだフラフラしているケイを家まで送っていった。人通りの少ない道。街灯だけが怪しく光っている。ケイは車から降りるとアツシとリョウに礼を言った。
「今日はゴメンね、なんか迷惑かけちゃったみたいで…」
「いや、ええよ。岡ちゃんが2週間も休みくれたんやからゆっくりしてな。それより、大丈夫なんか?一人で。」
心配そうに言うアツシに微笑むケイ。
「大丈夫やってぇ、いくつやと思っとん。」
「ならいいけど…」
「じゃあ、また連絡するね。」
「あ、それと…!」
バイバイ、と手を振るケイをアツシが引き留めた。
「何?」
「タケルもさっき聞いてたけど…その手、どないしたん?」
「あぁ、これ?なんか朝起きたら食器棚からめっちゃ皿落ちてて。破片の中で寝てたんよね。それで切っちゃったんだと思う。多分寝ぼけて棚にぶつかったんやと思うで。」
「……そうか。じゃ、ゆっくり休めよ。」
リョウも手を振り、車を出した。ケイの言葉を聞いたアツシは、また押しつぶされそうな不安に包まれていた。
「リョウちゃん…」
「何?」
「俺…ほんとにケイをバンドに入れてよかったのかな…なんかケイどんどん元気無くなってきてるみたいやし…朝起きたら皿が割れてたって、きっとまたフラッシュバックかなんかがあったんやろうと思うし…やっぱ間違いやったんかなぁ…」
そう言って頭を抱えるアツシ。リョウはハンドルにもたれながら言った。
「間違いも何も、アツシがケイの今を作ったわけじゃないじゃん。ケイが自分で作った今なんだよ。誰のせいでもない。しかも、あいつがいなかったら多分俺らデビューできてない。あいつは必要な存在なんだって。」
「そっか…」
ケイが自分で作った今か…、と小さく頷いた。そんなアツシにリョウは深刻な声で言った。
「それよりさ、俺タケルの方が心配なんだけど。」
「なんで?タケルは体丈夫だし、心配いらんで?」
リョウの方を向き首を傾げるアツシ。リョウはアツシと目を合わさずに言った。
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