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―――小学5年生の夏、アツシは両親と共に引っ越しをした。新しく越してきた街は前に住んでいたところよりも少し都会で、路地にはいると下水の臭いがプンプンしていた。そんな新しい街で迎えた夏休み。
8月が終わるとアツシは新しい生活に胸を弾ませながら初登校の日を迎えた。
「さ、真田アツシです!!宜しくお願いします!!」
黒板の前で大きな声をだし、緊張をこらえながら思いっきり自己紹介をした。と共にワーッと返ってくる大きな拍手。
アツシの席の周りにはたくさんの子が集まり、前に住んでいた所の話や、どこに住んでいるかなど、いろんな事を聞いてきた。それに笑顔で答えるアツシ。みんなが自分の転校を歓迎してくれていた。
が、隣の席が空いているのに気づき、気になったアツシは横にいた男の子に聞いてみた。
「ここの子は?今日休みなん?」
すると男の子は顔色を変えて、笑いながら言った。
「さぁ。死んだんじゃねぇの?」
傷だらけの机。なぜかその瞬間寒気がした。だが登校初日、小さな事は気にしないでおこう、とまた笑顔をつくった。
転校生のアツシは一日にしてクラスの人気者だ。きっとここでも楽しい学校生活が送れる…そう思うとワクワクした。
次の日の朝。アツシは校門をくぐると勢いよく廊下を駆け抜け、元気に教室のドアを開いた。
ガラガラッ
「おはよう!!……って…みんな…何してんの……?」
【第17話-END-】
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