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給食の時間、ケイの席には砂やゴミがたくさんかけられた食事が餌を与えるかのように適当に配られた。アツシはケイの方をチラチラと見た。黙って給食に目を落とすケイ。
どうするつもりなん……?
アツシが見ていると、ケイは大きなゴミだけを取り除き、食べ物に口を付けようとした。その姿を見たアツシはたまらずケイの腕を引っ張った。
「やめなよ!!」
突然の事に驚くケイ。だがすぐ目線を落として誰にも聞こえないような声で返してきた。
「……僕と話さない方がいい…。」
それでもアツシは引き下がらなかった。
「だって、そんなの食べれるわけないやん!!これ、俺のぶんあげるから!!」
そう言うとアツシは自分のご飯をケイに差し出し、どうしたらいいのか、とまどう彼の手に無理矢理ご飯を持たせた。
「はい、食べて」
するとケイは周りを伺い、少し震えながらも小さな声を出した。
「ぁ…ぁりがとぅ…」
そしてゆっくりと小さく笑った。
この子、笑えるやん…
なんだか嬉しくなってアツシも微笑み返した。
だがその瞬間、誰かがアツシを突き飛ばして、ケイが手に持っているご飯を取り上げた。
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