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ドンッ!!
「いてっ……」
床に倒れるアツシ。男子たちはアツシを見下ろして言った。
「今こいつ自分の分食べようとしたやん。なんでとめるかな?余計な事せんといてや。」
「で…でも…」
「何か文句あんの?新入りさん。」
男子たちの冷たい目。アツシは声を失った。そして男子たちは抵抗するケイを押さえつけ座らせると更にたくさん食べ物にゴミやホコリをかけ、無理矢理ケイの口へ入れた。
「ほぉら、ちゃんと食えよー。」
「おうちでご飯食べさせてもらえないんでしょ?今しか食べる時ないよ。」
「…っ……ゲホッゲホッ」
「何吐きだしてんだよ。ちゃんと食べなきゃバチがあたるだろうが!」
あまりのゴミの多さに食べ物を吐き出し、むせるケイ。だが男子はケイの髪を掴み、息をする間も与えないという程の勢いでケイの口に食べ物を詰め込ませた。そして吐き出さないように口を押さえ、鼻をつまんだ。
「っ…んぐっ!!…っぐっ…」
「桐谷こんなくらい食べれるよな?…桐谷は何でもできる子だもんな。」
食べ物がケイの喉を通るのが分かる。いや、もうあれは食べ物ではない、ただのゴミだ。全て飲み込んだのを確認すると男子はケイの口と鼻を解放した。
「…っ…ハァ…ハァ……うっ…!!」
ケイが自分の手で口を押さえた瞬間、さっきやっとの事で体内に詰め込んだゴミ達が逆流してきた。
べちゃっ…べちゃっ…
「うわっ…汚ねぇーコイツ。吐いたぞ。」
「きゃぁ!!やめてよ桐谷君汚い!!」
「食べ物無駄にするなって言ったばっかじゃんかよぉ。」
「はい、やり直しー。」
女子の悲鳴や男子の笑い声が聞こえる。
このクラス…絶対おかしいよ……
担任は知らないフリをしている。イジメを認めたくないのだろう。だけどアツシも所詮それと同じ。ただ凍り付いていた。複数のクラスメイトに取り囲まれ、何度も何度も嘔吐を繰り返すケイから、目をそむけることしかできなかった。
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