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「ふざけんなぁぁっ!!」
ケイはタケルに掴まれている腕を振りほどいて、彼の顔を殴ろうとした。大好きで仕方ないはずの彼を。自分の手で壊そうとした。
自分のモノにならないなら…消えて
だがその瞬間、タケルの強い睨み付けるような視線とケイの狂気に満ちた視線が交差し、タケルは迷うことなく思いっきりケイの腹を蹴って突き放した。
ダンッ!!
「……っ……ぁ……」
壁に思いっきり打ち付けられたケイ。
「お、俺、誰か呼んできます」
走って人を呼びに行こうとするショウの服をタケルは引っ張り、言った。
「誰も呼ぶな…。騒ぎがでかくなる」
「…っぁ…ぁぁ…」
天井を見上げると涙があふれてくる。今自分のした事、今自分がされた事。
全てがスローモーションに見えた。
自分はタケルを殴ろうとした。大好きな彼の顔に傷を付けようとした。
…殺そうと思った。
タケルが自分を蹴った。ずっと自分を守ってくれていたタケルが、自分を蹴って…突き放した。
今までのタケルが…いなくなっちゃった…
ケイは腹を抱えてその場にうずくまった。もうプライドなんてどこにもない。涙があふれ出してくる。タケルは息を整えるとケイに近づき、その震えている小さな肩を掴んだ。
「……ごめん。…なぁ、お前なんかおかしいで。何があったんや…?」
耳元で聞こえたタケルの声。ケイはその言葉に怒りさえも感じた。
「…何がって…タケルのせいやんかぁ…!!なんで分かってくれんの……嘘つき…」
声にならないくらいの小さな声で言うケイ。タケルの胸がズキッと痛んだ。そしてケイは腹を押さえて立ち上がり、荷物を持って控え室を出ていった。
「ケイッ!!」
バタンッ…
ケイの出ていった控え室。タケルはケイの言葉に頭を抱えた。
あいつは俺に何を望んでんの…?言ってくれな分からんやろぉが…!!
「くそっ……」
思いっきり拳で壁を殴った。
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