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―――ケイは家まで帰ってきた。玄関のドアを開けるといつものように真っ暗な闇が迎えてくれる。パチパチッと部屋の電気を付けるが、もう歩く気力さえほとんどない。
そうだ…喉が渇いてる…
水を飲もう、とフラつく足で食器棚まで行った。グラスに手を伸ばし、取ろうとした瞬間、ふとコーヒーの瓶に目がいってしまった。
「…もうきれかけてんだっけ…」
コーヒーの瓶をとり、外から中を見るともうあとわずかしか残っていなかった。
「買いにいかなきゃ……」
その瞬間、ケイの胸に亀裂が再び走った。
…もうタケル、帰ってこないんや…コーヒーなんて買う必要ない……タケルがいたから悪いんや。タケルなんか…いなければよかったのに……!!
バリンッ!!
大きな音と共にガラスと残ったコーヒーの粉が散らばった。
自分で床に投げつけたのに、ケイはその音に驚いて耳をふさいだ。
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