【第16話】『感情』

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 ―――ケイは家まで帰ってきた。玄関のドアを開けるといつものように真っ暗な闇が迎えてくれる。パチパチッと部屋の電気を付けるが、もう歩く気力さえほとんどない。 そうだ…喉が渇いてる…  水を飲もう、とフラつく足で食器棚まで行った。グラスに手を伸ばし、取ろうとした瞬間、ふとコーヒーの瓶に目がいってしまった。 「…もうきれかけてんだっけ…」  コーヒーの瓶をとり、外から中を見るともうあとわずかしか残っていなかった。 「買いにいかなきゃ……」  その瞬間、ケイの胸に亀裂が再び走った。    …もうタケル、帰ってこないんや…コーヒーなんて買う必要ない……タケルがいたから悪いんや。タケルなんか…いなければよかったのに……!!  バリンッ!!  大きな音と共にガラスと残ったコーヒーの粉が散らばった。  自分で床に投げつけたのに、ケイはその音に驚いて耳をふさいだ。
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