【第17話】『異変』

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 次の日は新曲のレコーディングだった。スタジオの中でドラム撮りをしているリョウ。アツシはプロデューサーやエンジニアと入念に話し合いをしている。  ケイとタケルは同じソファーに座っているが、会話はない。目を合わせる事もない。いつもじゃれ合っているはずの2人の様子がおかしい事に、気づかない人なんていなかった。もちろんショウもそのうちの一人。  足を組みながらチャカチャカと適当にギターを弾くタケル。ケイはジッと楽譜に目を落としていた。  正直な所、タケルはケイに何を話せばいいのか分からなかった。ただ、いつものように彼の方から話しかけてきてくれるのを待っていた。だがケイが自分に話しかけてくる様子もない。  『タケルのせいやんかぁ…!!なんで分かってくれんの……』  『…嘘つき…』  昨日のケイの言葉がまだ、胸に突き刺さっている。掴んだ腕の感触も、突き飛ばした時の音も…瞳も…。後悔や苛立ちが渦巻き、ワケが分からなくなっていた。  ここまでもワケが分からなくなっている原因はただ一つ。ケイが自分に何を望んでいるのか分からなかったから。自分が彼にどんな嘘をついたのか分からなかったから。  その時、ケイの手に包帯が巻いてあるのに気づいた。しかも片手だけではなく、両手に巻いてある。巻き方からして、自分で巻いたのだろう。 なんでこいつ包帯してるんやろ…  気になったタケルはとまどいながらも聞いてみた。 「…ケイ、その手どうしたんや?」 「………」  ケイからはなんの返答もない。 「怪我したんか?」 「………」 「何があった?」 「………」 「おい」 「………」 「なんか言えよ」 「……タケルには関係ないじゃん」 「…なんやねんその態度。」 「タケルこそ何なん。人を見下したような言い方して。ガキ扱いするのもエエ加減にしてや。」    ガッ!!
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