承前《continued》

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承前《continued》

【同日夜】  深く昏い闇の山中。そこは夜行の獣の天地であり、まるで地上の王を気取るかの如く振る舞う人の気配は無い。  陽が在る内はともかく、陽が落ちて夜を迎えてからここを歩く者など皆無であり、例えば綺麗な夜景など見るべき物が何も無いここは、大多数の人にとっては“高速道路から見える遠くの山”という遠景の一つに過ぎ無いだろう。  そして…と、人の気配の無いがまるで無い、夜行の獣の天地を歩く(モノ)は唇の端に薄い笑みを浮かべた。 「そして…ここに古来より人々を護ってきた結界柱が存在する事を知る者は少ない」  地に落ちた葉を踏み付けながら歩き続ける者の声。それはどこにも届く事も無く闇の山中に消えていくだけである。  だが、この者が為す事は地上の王を気取る人という存在に影響を与える事となる。  今までもこれからも………そしてその先に待つ物は?  そう考えながら歩き続けた者は、目的地へと辿り着いた。  注連縄(しめなわ)が巻かれた巨大な自然石。これこそが古来より闇の脅威から人々を護ってきた結界柱。地御柱(チノミハシラ)であった。  こうして対峙しているだけでも解る圧倒される程の神力。  だからこそ屠魔の眷属の発祥の地とされるここは、他の地域とは比較にならない位に鬼人の発生率は低かった訳なのだが、それを変えたのは自分なのだとその者は再び薄い笑みを浮かべた。    
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